
2001年3月シドニーからメルボルンまで国内線を乗り継ぎタスマニアのホバートまでたどりついた。
こちらの季節は夏で昼間は暖かく、夜は過ごしやすい気候である。
今回の目的は、タスマニア島を1周しながら観光を楽しみ、しかも釣キチの私にとって夢である「野生のトラウト」を狙う釣三昧の旅である。こんな豪華なツアーをクロさんに希望したら「任せなさい!」との頼もしい返事!
しかも予算と日数が無いので・・・というと「じゃ、7日間でやってみましょう!」とのこと。メンバーは私と友人の2名の旅である。
ガイドを合わせて計3人のツアーは、ちよっとリッチな気分!もちろんオリジナル度100%の夢の旅行となった。ちなみに本来の「タスマニア島4WDツアー」はシドニーから4WDで出発する。メルボルンから豪華客船「スピリットオブタスマニア号」で船の旅を楽しみ、タスマニアを一周する 計14日間コースが定番だ。私もできることならこのツアーに釣のアレンジで参加したかったが、今回このコースを利用するには日程が足りなかった。
日本を発つ前に映画「タスマニア物語」をしっかり見てきた私は幻のタスマニアタイガーにでも会えるかと夢を見ていた。とにかく始めてのタスマニア旅行だったから、何もかもが初体験!
クロさん曰く 『1週間でタスマニア島を一周し釣りと観光を楽しむのはきついけど、限られた時間を最大限に有効に生かしましょう。』
果たして、この一週間は、僕が想像していた以上の素晴らしい旅になったのか??
最後まで読んでね!!
<そこで今回のクロさんコースを紹介しょう!>
1日目
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シドニーからメルボルン経由でタスマニア島のホバートに到着。タスマニアブリッジを渡ってホバート観光、釣具屋にてライセンスを取得。その夜ホバート港のレストランで食事を楽しむ!キャラバンパークに宿泊
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2日目
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リッチモンドブリッジ見学し、いざホバート湾に注ぐ上流ををさかのぼる。途中タイガートラウトのいる「サーモンポンド」を訪れる。クロさんお勧めのマウントフィールドナショナルパークでキャンプとリバーフィッシング
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3日目
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マウントフィールドナショナルパークのレインフォレストを観光し、一路「ブレッディーチエーンレイク」でとても素敵なロッジに宿泊し、エンジンボートを借りてレイクフィッシング
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4日目
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朝マズメからレイクにてフィッシング!有名なクレイドルマウンテンの観光し、キャンプ
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5日目
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アーサーレイクにてフィッシング
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6日目
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ロスの「魔女の宅急便のパン屋さん」にてコーヒーブレイク、ロンセストンでフィッシング!
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7日目
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イーグルホークネック、デビルキッチンなどを見学した後、囚人の監獄「ポートアーサー」へ。帰りに「タスマニアデビルズパーク」を見学し午後国内線でホバートからシドニーへ夕方到着、その夜日本へ向けてフライト!
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8日目
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成田着
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というなんとも盛りだくさんの内容だった。
実はこのコースは「釣りと観光を思いっきり楽しみたい」私達のメチャわがままな希望を叶えてくれるためにクロさんが入念な情報収集によって計画を立ててくれ実現が可能になったのだ。しかも、私がわがままを言って予定変更を頼むといやな顔一つせず付き合ってくれた。これもクロさんのタスマニアに関する情報量と選択肢の多さを物語っている。そして釣りと観光の絶妙なバランス。 結局なんだかんだといいながら、到着日と、出発日以外は、毎日釣りをする事が出来たし、釣りと釣りの間の観光名所も驚きの連続だった。
そして今回出会えた動物は「カンガルー、カモノハシ、ウオンバット、タスマニアデビル、ワラビー、ポッサム、ハリモグラ・・・・」盛りだくさんの出会いに感動の嵐!!
とくにマウントフィールドナショナルパークでフライフィッシングをしてたら、キャストの先にカモノハシが現れたことは感激のシーンだった!
ありがたいことに雨にも降られることは1度もなく、最高のフィッシングとタスマニアの自然の美しさを存分に味わうことが出来た。
<タスマニアのフィッシング>
さて、それでは釣に関して書いてみよう!
釣に関してはルアーとフライフィッシングの両方を楽しみたいので、それぞれフライロッド2本とルアーロッド3本を「バズーカ」というロッドケースに入れて持ってきた。タックルについては、フライは渓流用の4番タックルと湖用の7番タックル、ルアーは主にブラウンを狙うためミノー中心のスピニングタックルで大型の予想もあるのでライトタックルとミデアムタックルを用意。ラインは6ポンドと10ポンドでリ−ダーには一回り太いフロロを使用。ルアーはミノー、スピーナー、スプーンと様々試し、フライも様々なパターンを用意した。
タスマニア到着後はホバートの町で釣具屋にも寄った。オーストラリアでは、フィッシングライセンスを取得しないと、釣りが出来ない場所が多いが、タスマニアも例外ではない。もちろん僕は、釣具のチェックも忘れない。店にはどこか田舎の雰囲気といおうか、日本と比べると、時代遅れの道具が並んでいる。さっそく、名物の「タスマニアデビル」が売っていたのでお土産用に大量に買い込んでしまう。
クロさんは、なにやら店員と英語で話し込んでいるが、釣り場のポイントの最終チェックだろう。僕も2、3質問してみたい事があったので、クロさんに通訳して訊いてもらった。
通常、タスマニアで釣りをしようとすると地元の手馴れたガイドを雇って釣りに行く事が多い。ガイドを雇えば、到着後の迎え、宿泊そして空港の送り迎えまで手配をしてくれる。釣り場の状況も熟知しているから安心と言えるだろう。しかし、今回は釣を中心に「夢の楽園タスマニア島」を存分に堪能したいという贅沢な希望があった。また、釣り場を自分達で開拓したい気持ちもあった。特に「クレイドルマウンテン」や「魔女の宅急便のパン屋さん」「山と湖のトレッキング」「動物探索」「名所めぐり」などなど・・・まさしくタスマニア島を満喫するコースだから、あえて制限されるフィッシングガイドは雇わなかった訳だ!
<フィッシュオン!>
最初はマウントフィールドナショナルパークへと向かった。ここはホバートの港に注いでいる川を上流へとさかのぼって走る。途中、サーモンポンドへ立ち寄った。ここはイギリスからその昔輸入したレインボートラウトやブラウントラウトの孵化場所として使われ、今では観光名所となっている。中に入ると池の中にたくさんのトラウト達が泳いでいて、餌を与えることが出来る。「ウーン!ここにフライでも落とせば入れ食い状態だろうに!」と考えてしまう。(釣師の悪い癖である・・・)
ここにはレインボー、ブラウンの他ブルックやタイガートラウトもいて、これらがタスマニアには生息しているそうだ。
しばらくすると、早く釣がしたくなる衝動にかられたので、キャンプ場に向かった。クロさんが特にお勧めのキャンプ場「マウントフィールドナショナルパーク」だ!
キャンプ場でテントの設営を終えるとすぐ隣に綺麗な川が流れている。クロさんも通常のツアーで良く釣りをする場所らしい。そこは川幅約20メートルぐらいのクリークでフライでもルアーでもよさそうなポイントだった。川を観察すると魚が泳いでいるではないか!歩いて一通りポイントをチエックしたが、何処でも釣れそうなぐらいポイントだらけである。
ファーストスタートはフライにした。4番タックルを使ってドライで楽しんでいると、突然目の前がボコッと盛り上がり何かが浮いてきた???何と目の前に「カモノハシ」が現れた。感動して仲間に知らせるとスッと岩下に沈んでいった。その後、川幅が狭くカバーが多いので、ルアーにチェンジする。ミノーを流すと記念すべきファーストヒット!ブラウントラウトの20センチサイズだった。放流魚でない自然の魚体は本当に美しい、思わずため息がでる。次に小型ミノーをキャストすると小型のトラウトがすぐに追ってきた。数回キャストするとグッとロッドがしなった。慎重にリトリーブすると体色が白っぽいブラウントラウトだった。25センチのサイズである。その後、パールマークがハッキリしているとても美しいブラウントラウトを1本キャッチした。サイズは同じぐらいで水深は30センチほどしかない場所でサイトフィッシングである。「何て魚影が濃いんだ!」と感動してしまう。
夕食用に2匹だけキープしてホイル焼きにして食べることにした。そのうち夕まずめでライズの嵐になったが、フライが良いようでミノーには反応が少なくなったので、夕食の準備のため終わりにした。
日が暮れ始まると、ガサガサ水辺の林のあちこちから音が聞こえてきた。良く見ると可愛らしいワラビー君達だった。
さらにテントに帰ると動物達があちらこちらに現れているではないか!ポッサムは人に怯えることなくテントの際までのんきに歩いているし、ワラビーはちょっと人との距離を置きながら集まってきた。まさに動物園状態である。その夜、タスマニア最初のディナーにブラウントラウトをアルミホイル蒸しにして食べた。翌日の早朝はルアーにてブラウンを2本釣ってから朝食を食べ、有名な滝「ラッセルホール」を見にトレッキングに行った。
その後、「ブラッディーチエーンレイク」を目指して北に向かう。
「ブラディーチエーンレイク」は3つのレイクがチエーンのようにつながっている湖で、地図で見たとき、とても攻めやすそうな釣場に感じられた。この日はフィッシング専用のロッジに泊まることになった。タスマニアの季節は夏だが、温度差は激しい。昼は夏の暖かさだが、夜はジャンバーを着込まなければならないほど変化がある。特に湖では風が吹くことがあるので上着を用意しないと寒くて釣にならないことがある。
とても美しい「ブラッディーチエーンレイク」でボートを用意。「さあ!いざ立ち木が水没する見るからによさそうなポイントを攻めるぞ!」といいつつ、ボートに乗る前に試しに岸からキャストしてみた。何と1投目からヒット!「な、なんだ〜」と岸に寄せるとまったく見たことがない魚である。熱帯魚のような赤いヒレに美しい縞模様「レッドフィン」という魚であった。どれどれ、仲間のSさんが次に投げるとこれも2投目でヒット「レッドフィン」である。
「これはボートで行かなくても良いんじゃないの?」クロさんも隣でレッドフィンを釣りあげながら言っている。よく見るとルアーに3匹ぐらい着いてくる。その後岸からレッドフィンの爆釣があったが、「我々はこれを狙いに来たのではない!!」(・・・と言いつつ釣れるから楽しい!)やっとボートを出してポイントを攻めることに!
3人ともスピニングタックルでミノーとスピナーでチャレンジ開始!しかし良いポイントを攻めていくが、しばらくトラウトのバイトはない。ロッジのケンさんに聞くと、ここはほとんどブラウントラウトが80%で残りはレインボーだという。(ちなみに奥さんは「メリー」??どこかで聞いたような、「ケン&メリー」はスカイラインだったな!)
野生のブラウントラウトを釣ってみたい一心でキャストを続けるが追ってくるのはレッドフィンばかり、3人ともレッドフィン爆釣地獄に苦しむ!しばらくして倒木の下でラパラのシンキング5センチをキャストするとグンとあたりがあった。すると、いきなりジャンプだ!「えっブラウン?」こんなにジャンプしたっけ?
ホームグラウンドの「芦ノ湖」でブラウンを釣った時ははまったくジャンプしないぞ!
やっぱ、野生のブラウンは違うのか?ファイトもなかなかのものだった。ボートの淵に寄せ、ネットですくい、「ゲーット!」52センチの良型のサイズ!ヒレはピンピン!これこそタスマニアのネイティブトラウトだ! その後、強い風が吹き結局私はこの1匹のみ、クロさんとS氏は良型を2本づつ釣り上げた・・・・(この間、レッドフィンは3人とも入れ食いで何匹釣ったかわかりません・・・)翌日の朝ボートで別の場所を攻めるため朝マズメを狙ったが残念ながらトラウトのバイトはなかった。
「さあ、タスマニア1週のマラソンフィッシングだから、次のコースに行くぞ!」クロさんと次に向かったのは有名な「クレイドルマウンテン」ここですばらしい眺望を見学!その後有名なアーサーレイクに着いた。ここでもボートハイヤーをしたが、とにかくその大きさにビックリ!エンジンボートで攻めるも、ここは半端な大きさじゃない。釣果はクロさんが2本、S氏が3本のブラウンを上げ、私が1本のバラシであった。
その夜は貸しボートやの古ぼけたロッジに泊まる。。このアーサーレイクはとてつもなく広い!ポイントだらけでとても絞り込めないレイクである。ここは3日間ぐらいは泊まってじっくりチエックしたいところだ。
しかし、我々マラソンフィッシングに休息はない!その後、更に北に向かいロンセストンのプライベートレイクヘ向かった。
<ついにレインボートラウトの爆釣!!>
ロンセストンではプライベートレイクヘ向かった。ここには広大な土地に湖が3つあり、桟橋や、バーベキューポイントもあって、管理が行き届いた釣り場である。
釣り方は岸とボートを選ぶことが出来る。私は岸からフライで、クロさんとS氏はボートでルアーで攻めることに。7番ラインにシンキングタイプ2、シューティングラインを付け、マラブ-をキャストする。なんと第1投からガツンと「ヒット!」力強い!これはかなりのサイズだ・・・・がラインブレイクしてしまう。するとボートでクロさんが「ヒット!!」と叫んでいる。ロッドがしなり、ファイトも激しいレインボーだ!50センチオーバーののレインボーをゲット!
そして次々に連続ヒットとなる。私が11本、クロさんが10本、S氏が7本と連続爆釣だ!
すべてがネイティブなトラウトでヒレもピンと張って、アゴも突き出している、傷一つない美しい魚体であった。
タスマニア島の旅は1週間というかなりハードスケジュールであった。今回走った走行距離は2000キロにも及ぶ!
しかし本当に満足できる旅だった。今度行くときはもっとゆっくりフライで狙ってみたいと思う。
とにかく語り尽くすことはできないが、本当に楽しく充実したツアーだった。
<今回の釣果>
私の釣果の方はネイティブなブラウントラウトが6本(20〜52センチ)、レインボートラウトが11本(45〜60センチ)、レッドフィン40本(15〜25センチ)
地元の専門フィッシングガイドを雇うことなくこの釣果には満足している!しかし、希望をいえば狙いの70センチ級ブラウンを出せなかったことは残念だった!
<宿泊について>
宿泊はキャンプ場とキャラバンパーク、そしてロッジでの宿泊となった。キャラバンパークはオーストラリアの小さな町にでも必ずある施設だ。ここにはトイレ、シャワー、電気コンセントなどが必ずあり、部屋の中にもキッチン、ベッドがあり大変便利だ。。キャンプ場も施設が整っていて、清潔で使いやすい。なかでもマウントフィールドナショナルパークなどはキャンプ場にほとんどの設備があり、とても綺麗で使用者のマナーも良い。女性だけのグループでキャンプしているぐらいだから治安もとても良く安心できる土地柄だ。
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