2004年3月吉日 吉報来る
2月後半大学の最終試験が終わり、後は結果を待つのみと、毎日天気を見ては近くの磯にキングフィッシュ(ヒラマサ)、ボニート(歯ガツオ)などをターゲットにショアジギングにいそしんでる筆者に、近所に住んでいるシドニーの釣り&旅行ガイドのクロさんから、マーレイコッド釣りへの誘いが、舞い込んできた。
前から、マーレイコッドの釣りの話をお聞きしており、そのアグレッシブで悪食な巨大魚に、ルアーアングラーとして興味を惹かれないわけがなく、スケジュール、予算等急遽折り合いをつけ来る日に向け、準備を開始した。
筆者の専門は、ソルトの青物達である。従って、Fresh Waterの釣りの知識、タックルを持ち合わせておらず、ネットや当地の釣具屋の店員から知識を得る作業に奔走する日々が始まった。 興味深かったのは、どの釣具屋さんへいっても、勧められるタックルが非常にライトなものであったことだ。 クロさんからは、最低でも30LB、出来れば50LBくらいのPEを使うようにいわれていたが、釣具屋の店員は、みな12LB、15LBあたりを勧めてくる。ロッドもバスロッドをちょっとヘビーにした程度のもので、30LBや50LBのラインとあわせるには、あまりにも頼りない。
当地シドニーの釣具屋では、マーレイコッドといえば、50cm、4kgくらいのものを想定しているようだ。実際、シドニーの近くで上がるMurray Cod(マーレイコッド)は、このサイズらしい。 これでは、これからいく、釣り場の巨大魚には、到底対応できない。 店員に30LBから50LBのPEラインを使うことを告げると、彼らの態度は一変、筆者が本物の巨大魚を釣りにいくと理解したと見え、かなりごついロッドを見せ始めた。 彼らは、筆者のような、日本人が、そんなサイズのMurray Cod(マーレイコッド)を釣れる場所を知ってるはずがないとたかをくくっていたようだ 一転、ロッドは船から青物を狙えそうなミデアムヘビークラスのロッドが出てきたが、それなら筆者の持っているロッドで事足りると、新調する必要がなくなってしまった。 すなわち、クロさんの知っているポイントは、シドニーの釣具屋さんの店員の、常識を超えているということなのか。そして、そんな場所に遠征できる、筆者は幸せものである。
2004年3月12日いざ、聖地へ出陣
朝、7時30分にシドニーを出発した、前日の夜は遠征に対する興奮が眠りを浅くしたが、 モチベーションは高く上がり、車内クロさんと二人つり談義、魚談義に花を咲かせた。 とは言え、全行程片道約8時間のドライブである。常人なら話のネタが尽きるようなものだが、さすがは、当地経験豊かなガイド、クロさんの脳みそに蓄えられている知識、情報、ネタは8時間という長いドライブを数時間くらいに感じさせる、魔力を秘めていた。
筆者も雑学など興味があり、シドニーにかれこれ4年はすんでいる。オーストラリアについてそれなりに知っているつもりではあったが、クロさんのそれは、次元のちがうところにあった。 行く先々で出会う景色、町、花、木々、動物そして建造物それらを詳細に説明してくれる。単なる釣り遠征ではない、観光ひいては旅行としては、醍醐味を存分に味わった長距離ドライブだった。
約6時間のドライブの後、アーミデールという町に着いたところで、現地釣りガイドに、クロさんが電話をいれた。(ちょっとおおきめの町でないと、携帯の電波が届いていない)時刻は、途中の町で釣具屋や、スーパーに寄ったりして道草してしまったので午後3時に近い、そこで、ジェーミーから、夕マズメの1セッションをやるかという、うれしいオファーをもらい、当然のように答えはYES、予定では、今日は移動日だったのだが、ラッキーにも釣りができることになり。 二人は興奮のボルテージをいっきに高め、いざインバレルにかっとんでいった。(注:法定時速は守ってます)
夕方、5時くらいにやっとインバレルの郊外の町に到着して、地元釣りガイドと落ち合う。挨拶も手短に、ガイドの車に早速、釣りに必要なものだけ移し、すぐ出発。 ガイドとの長い挨拶など必要ない、ということを彼もわかっているようで、最小限の時間のロスで釣り場を目指す。 というか、 今日釣りできることがわかっていたら、 もっと早い時間に到着することも、できたんですが・・・。 さておき、彼の年季の入った4WDは農場の中の悪路をひた走る。といっても、時速10KMくらいですが。如何せん道が悪すぎる。 車の中で頭をぶつけることは避けられない道といったら、おわかりいただけるでしょうか。 (いや、道ということ自体怪しいかもしれない。)
30分強の悪路を走破して、川が見えてきた。 すごい、地形だ、日本の渓流とも違うし、川なんだけど、地形は、磯? って感じのごつい岩岸壁に、例のユーカリで濁った川が流れている。いかにも、いそうである。 ここに、魚がいなければ、どこにいるのと、いいたくなるような人間の足を踏み入れるのが困難なポイントである。 川岸を歩き、投げられそうなポイントに移動する。筆者は、普段磯釣りが多いため、今日も歩きなれた、スパイク付きの磯ブーツを履いていた、これが正解で川岸も楽に歩けた。スニーカーなどはいていたら、滑って転んで、川に転落、マーレイコッドに食いつかれていたかも。(注: 人食い魚では、ありません。 ただ、でかくて悪食なだけです。 目の前に通るものならなんでもパクッと!! )
時は、夕マズメ、日がいい感じで傾き、川は、そよそよと流れ、小鳥はさえずり、大鳥もちょっと大きめな音でさえずり?、牛はモー、ヤギはメーと、さまざまな自然の音の中、筆者の釣りは、開始した。ディープダイバー系のルアーを、投げ始める。ポイントと思われる所にバンク際に投げはじめる。 あたりはない、でもうれしい。 筆者は、変わった釣り人で、入れ食いといわれるようなつりは、嫌いである。魚が出なくても、自然のなかでルアーを投げているだけで、満足できてしまう不思議なアングラーである。 それまで、ガイドの竿を借りて投げていたが、魚は出ず、ルアーチェンジとともに、持参したスピニングのPE30LBタックルに、サーフェースルアー(ディプスチャージ)をつけ投げ始めた。こいつは、水をポコポコと切り水面上に泡を吐き出すというアクションをするルアーである。こいつが、通った後は、泡だらけである。このポコポコアクションが、魚の活性をあげ、トップに出すというすぐれもので、残った泡でどこを攻めて、どこを攻めてないか、一目瞭然にわかるという、一石二鳥ルアーである。筆者は、こいつがえらく気に入った。 こいつで一匹あげてやる。クロさんはすでにゴールデンパーチ(イエローベリー)をディープダイバーで、マーレイコッドをサーフィスであげている。お客より先に釣ると言ううわさは本当だった。
あたりは、日も落ちほぼ真っ暗に近い状況である、もう帰らないと危険だなと思い始めたころ、ボコーンと水面が割れた。 これが、マーレイコッドのバイトである。 だが、ルアーには、触りもしない。 へっ? と思っていたら、ガイドから、同じコースを流すか、魚が出てもルアーを巻き取らず、ちょんちょんと動かせば、また出るとアドバイスをもらい、また同じコースに投げてみた、出ない、3回同じ場所に投げたがでない。 筆者はしつこいので、もう3回ほど投げたが出ない。あきらめ、違う場所に投げ始め、ルアーを巻ききるちょうど1メートル手前くらいでまた、ボコーンと爆音が響く、今度もルアーにさわらない。PEラインを使っているので、針の先にでも触ればわかるものだが、何一つ手応えがない。話には聞いていたが本当に捕食がへたである。 乗らないどころか、触らないのである。 だが、食ってないことには気づいてるらしく、ちょんちょんとルアーを動かしてやるともう一回食ってきた。だが、同じく触らない。 きっとこの魚は、自分が捕食が下手だと知っていて、何回でも挑戦してやろうという意気込みがあるのだろう。 人間的に解釈すれば、一度興奮する(活性があがる)と、覚めるまで時間がかかるといったところだろうか。
結局3度のバイトを経験したところで日も完全に落ち納竿となった。 懐中電灯の灯りをたよりに車にもどり、また悪路を抜け宿泊施設に戻った。
夕食をとりベッドの上で、リーダーを付け直したりして、明日の準備をし心地よいつかれとともに床についた。
明日は、ルアーに触れてくれるかな?
2004年3月13日、 カヌー釣り
大雨の音と、夜の内陸部特有の冷え込みによって、早朝目が覚めた。 時計を見るとまだ3時、出発は、6時なので3時間余りの時間がある。前日夜早く寝たせいか、意外と頭は冴えている。というか、冴えすぎてその後もう一度寝ようと試みるが、眠りに落ちれず5時30分になり、朝食をすませた。雨は、小降りになり5時を過ぎたころにはほぼあがっていたが、6時にガイドが迎えに来るとまた降りだし、小雨の中ガイドの車で川に向かう。 またもや悪路を抜け、釣りをする川についた。カヌーにタックルを積み込み、いざカヌーを上流に向け漕ぎ出す。 ガイドがパドルでカヌーを低速で操り、常にカヌーは微速ながら、動いている状態で両サイドのバンク際、ポイントと思われる立ち木、茂み、ウイードなどの無数にある自然のストラクチャーにルアをキャストする。 ルアーは、昨日と同じポコポコ、サーフィスルアー。 こいつが、静寂をポコポコと切り裂く。数キャスト後、茂みから10メートルほどルアーを引いてきた、カヌー手前5メートルあたりで、爆音。 だが、触らない。再び同ポイントにキャスト、出ない。 朝一番の、活性が高いと思われる時間に1発でたが、そのあと出ず、300メートルほど上流へ来たところで、Uターンをし下流に向かって流す。この川は、広いところで川幅50メートルくらいあり、最深で14メートルほどあるらしい。だが、自然の川なので、倒木や、ゴロタ岩などが無数にあり、カヌーで通れない場所は、カヌーからおり、ガイドがカヌーを押して、筆者などお客は川岸を何百メートルか歩き、再び深いところまで着たら乗るという繰り返しで、何キロメートルもある川の無数にあるポイントを次から次ぎえと攻めていく。 この釣りの利点は、とにかくポイントをたくさん攻められるということで、逆に、ひとつのポイントに1キャスト、多くても、数キャストしかできない。 そのため、ストラクチャーなどの、ポイントに正確にキャストすることを要求される。 一回ミスキャストしたら、カヌーは常に流れているため、2度どそのポイントは攻められなかったりもする。 筆者など、普段ソルトウォーターでキャストしてる釣り人には、この釣りは若干厳しかった。常に好キャストすることが、好釣果につながるようである。 もちろん、どこに投げるのも自由なので、ポイントを即座にみつけ、正確にキャストすることが肝要である。
やった!初マーレーイコッド、88cm!!
朝マズメのサーフィス狙いの時間が終わり、ルアーチェンジ。 今度は、ディープダイバーで深場を攻める。水深は2〜5メートルくらいあるだろうか。 同じようにポイントにキャストし、ルアーも引き潜らせる。 すると、ルアーにあたりがあり、即、魚がのった。 小さい。PE30LBのタックルでは、強すぎるくらいの魚がかかったのがわかった。 かなり緩めの5KGくらいの設定のドラグはまるっきり出ず、巻いてると、針がはずれてしまった。 フッキングが甘かったようだ。 合わせはいらないといわれてるつりなので、いまいちわからない。 普段の青物のように、ハイスピードでまいて、ガツンときて、うぉりゃーと合わせる釣りばかりしている筆者には、とても難しかった。 ま、所詮淡水魚とたかをくっていて釣りをしていた。それが、災いしてか当たりがあっても、ランディングまでには至らないといったことが、数回つづいていた。
日も完全の昇った10時過ぎころ、ドスーンと当たりとともに竿が締めこまれた。 お、これは、今までの魚とはまるっきりちがう。 ドラクも小気味よく、シュるシュるといった感じで3〜5Mほど引き出される。 大物だ。 青物のそれとはまるっきり違う、スピードはないが重量感のある突っ込みをする。ロッドはミディアムクラスで、リールはDAIWA社の3000番にPE30LB、リーダーはナイロン60LBを、MIDノットで接続、万全の装備だ。1メートルクラスまであげられるはず と自分に言い聞かせ、ファイトを展開する。 相手は、巨大魚マーレイコッド 最大100KG以上まで達する化け物。 いつどんな動きをするかわからない、慎重に魚とラインのやり取りをする、5分ほどたったのち魚体が始めて見えた。うん、そこそこでかい。 でも、1Mはないや、とちょっと拍子抜けするが、魚は依然元気に走りまわる。 最長で、15Mほどラインを引き出された、ロッドが弓なりにまがる。 このクラスのロッドだとちょっとやわらかすぎるらしい、ただそのやわらかさを利用して、ためが効き、ドラグも正確に出る。ドラグを閉めないと根に持っていかれるかもしれないと思った。だが、閉めなかった、閉めるわけにはいかない。 推定30LBクラスが反転などで一気にパワーを加えたら、PE30LBはとんでしまう、青物で何度も体験済みだ。 ロッドで魚の向きを操り、障害物に突っ込まれないようにかわし、円運動の回転を続けさせ、疲れきってギブアップするまで泳がせた。 15分ほどたっただろうか、魚もようやく疲れをみせ、するどい突っ込みはしなくなる。さ、ギブアップかと緩いドラグのまま、魚の頭をカヌーのほうに向け、同じく半円運動の青物を取り込むときとと同じ原理で魚を導き、水面に顔をださせる。 青物だったら、すぐ取り込まないとまた走り出す可能性があるが、こいつは、チヌ(黒ダイ)のように、水面で空気を吸わしてやるとおとなしくなってまるっきり暴れるのやめた。 とうとう完全に観念したらい。 ガイドにリップグリップで下顎を捕まえてもらいキャッチに成功。 ふ〜、無事終わった。 写真撮影をしようと、手を腹の下に潜り込ませ、リップグリップを持ち、慎重に持ち上げた。腹の下をささえてあげないと、マーレイコッドのような腹のでかいデブな魚体は、首などを骨折してしまったりと危険らしい。ま、所詮片手で、下顎をもって持ち上げられるサイズではないが。 う〜ん重い。 メジャーで計ると88CM、ガイド推定28LBだ。 会心の一匹である。 写真撮影も無事済ませ、リリースすると、のっそりと底へと潜っていった。 完全にギブアップするまでファイトしていたので、キャッチ後は、まるっきり暴れず写真撮影にも静かに応じてくれた。 初マーレイコッドがなかなかいいサイズで、ファイトも会心だったので、とても満足できた。釣り上げたルアーをよく見ると、トレブルフックとルアーをつなぐ、スプリットリングが伸ばされていた。 危なくフックがルアーから外れるところだったと思い、ちょっと肝を冷やした。 ガイドの貸してくれたルアーだが、スプリッドリングが伸ばされるってことは、1メートルオーバーがきたらとれないじゃん、と思った。 普段Sydneyで青物をやるときはヒラマサの1メートルオーバーが混じるので、必ず、スプリットリングと、フックを超強力なやつに、変える筆者だが、今回こんな大物がかかると思っていなかったので、しょうがないですね。 予断ですが、この釣行記を読んでから、1メートルオーバーを狙う方、自分で超強力なやつに変えたほうが無難です。筆者は、準備していかなかったので、後悔しています。ラインもクロさんの推薦通り50LBはあった方が安心です。
なかなかのビッグサイズを釣ったのでこれでもういいや、と満足しきっていたし、これ以上でかいやつは、ルアー的にとれないかもと気楽につりを開始しました。大事件がおきるとも知らずに。
逃がした魚はモンスター級!!??
小雨もあがり、雲も晴れて、太陽は真上から皮膚を焼きはじめるなか、黙々とルアーをストラクチャーに向かってキャストし続けるのも疲れ、ひょいと、ルアーを見えるストラクチャーとは、まるっきり関係ない川の真ん中らへんのところにキャストしてみたら、竿がロッドのバッドまで、一気に絞り込まれた。 何? と思った時には ロッドは、もう真っ直ぐに戻りきっていた。 さっきの88CMがあたったときは、ティップしかまがらなかったのに。 なんです、いまのは、とルアーを巻き上げてみると。 あろうことか、ディープダイバーのアルミニウムかなんかでできてるリップが、90度垂直に曲がっているじゃ、ありませんか・・・。 ガイド曰く、60LBオーバーが、たまに曲げる。 って、後で自分の手で曲げようとしたが、曲がりませんぜ。 いわゆるモンスターと呼ばれる超巨大魚とやらが、かかったらしい。 自分にひとつ言えることは、さっきの88CMとは、比べ物にならないサイズだったってことだけです。ルアーのリップを口で曲げるためには、魚の口の構造上、ルアーを縦にして、上下につぶすといったことが行われたはずです。ディープダイバーの長いリップまで合わせたルアーの全長は、15CMちかいとおもわれます。それを簡単に、丸呑みにして潰してしまう、顎の力。恐ろしい限りです。 何で乗らなかったのかという悔しさ以上に、驚愕しました。 これだから、釣りってやめられないですね。 ストラクチャーとは、関係ないところ、(ま、見えない底にストラクチャーがあったかもしれませんが、)で、常識を逸するようなことが、起きる。 これが釣りの醍醐味ではないでしょうか。
その後も何匹か、小さいといっても、50CMクラスですが、釣れたり、ばらしたり、乗らなかったりして、興奮さめやらぬなか、納竿と相成りました。
とりあえず、マーレイコッドはあげたので、今度は既に、10回ほどトップにでて、フッキングしない、へたっぴな捕食をする魚を、サーフィスで一匹あげようと、目標を立て、明日からの釣りに望みます。
2004年3月14日、 再び夕マズメおかっぱり
この日は、日本から来るもう一人のお客さんを空港から向かえにいくところから始まり、Armidale空港に向かいました。クロさんと二人で、車内ここ2日の釣りの話とマーレイコッド談義をしながら、残り2日の釣りに胸を膨らませて。 無事、福岡県から参加のお客さんテルさんと合流し、本日の目的地Ashfordを目指しました。
Ashfordの農場主の牧場に着き、挨拶をし、またもや、夕方からの釣りが始まりました。
クロさんの案内で農場の中を流れている川を、上流、下流と歩きながらポイントと思われるところを見つけては、ルアーをキャストするといった流れで釣りをしました。 個人の農場の中を川が流れてるって、すごいことですよね。 牧場の私有地の中を流れている川なのでほとんど人の入った形跡のない場所でここら辺の川は完全に自然が守られていました。
午後4時過ぎから、釣りはじめいくつかのポイントを巡ったところで日本からはるばる片道15時間近くかけて来たテルさんに、アベレージサイズのマーレイコッドが初ヒット、初キャッチとなり、遠征してきたかいがありましたね。そのあとも、立て続けに2匹追加し。存分にマーレイコッド釣りを楽しんでいたようです。
筆者のほうはというと、根がかりや、ライントラブルで釣りしてる時間よりも、直している時間のほうが長かったですね。 一度、立ち木の見えている部分にルアーをひっかけてしまい、とりにいこうかと、腰のあたりまで川に入ってみましたが、次の一歩を踏み出そうとしたとき、足が底にまるっきりとどかないくらい、いきなり落ちこんでいて、それでびびってしまし。 ルアーの回収は断念しました。 ここらへんの川では、泳いでも危険な生き物はいないらしいですが、水質が濁り系でまるっきり見えないので、恐怖を感じますね。 日本の渓流みたいに、透明な水だったら泳げるのですが・・・。 予断ですが、ここよりも北にいった、バラマンディがいるような川では絶対に泳げません。 というか、川岸にあまり近づくことさえ危険ですね。 獰猛な体長10メートルにもなろうかという、ワニさんが待っています。 クロさんいわく、オージーたちは、ここのようなマーレイコッドがいるような川では、平気で泳いで、ルアーを回収にいくようです。
あたりは日がくれてきまして、今日も夕まずめのトップ狙いとなりました、過去2日で10回ほど
空バイトを体験してるので、今日こそはルアーをくわえてくれと祈りながら、サーフェースをポコポコとポイントに向けてキャストし続けました。
夕まずめというよりは、もうほとんど日が暮れ落ちたくらいから、3人の釣り人に立て続けにあたりがではじめた。 筆者には、結局5回のバコーンんという爆音を響かしてくれましたが、相変わらず、ルアーに触れやしない。 なんということでしょうか? 活性は、すこぶる高い、でも乗らない。 もう、この魚の捕食の下手さには、あきれてしまいます。これが、マーレイコッドの最大の魅力でしょうか。 釣り人って、あたりがあっても乗らないといったことが続いたりすると、熱くなりますよね。 この魚はその魅力を感じるアングラーにとっては、ベストだと断言できます。 ただあまり熱くなりすぎるのは、キャスティングの精度をかいたりするので、良くないですが。 かくゆう筆者も、ちょっと熱くなってました。 出る、乗らない、出る、乗らない、出る、乗らない、出る、乗らない、出る、乗らない、こんなことを繰り返してみなさい。 熱くなりますぜ。
結局、今日もトップのルアーで釣るどころか、触らすことさえできず、納竿です。
釣り道具を車に積み込み、農場主の家で夕食をご馳走になるべく、帰路につきました。
2004年3月15日、 釣行最終日 トップで
ついに釣行最終日となってしまいました。(泣) 天気はあいにく朝から小雨が降っていましたが、雲天で釣り的には、ベストコンディション。 (晴れて、日に燻られるとほんとに暑いので。) よっしゃ今日こそは、トップでと意気込んで、トップで釣れるまで一日中でも、おんなじサーフィスルアーを投げ続けてやる。
車に積んでいったカヌーを川に下ろし道具を積み込み、 いざ釣り開始。 今日のカヌーは4人乗りで、パドルのほかにエレキも搭載してある優れものです。そこに、テルさんが一番手前、1席開けて筆者、一番後ろにクロさんが乗り込み後部についてるエレキを操ります。 このカヌー、席と席の間が近いのでキャスティングに神経をつかいます、(魚がかからないからといって、人間にはかけたくないですね)、体をカヌーと垂直にしオーバーキャストでふり幅を短くしたキャストで、黙々とポイントにルアーを投げ込みます。 いきなり出ました、でも乗らず。やっぱりね。 お、今度は、テルさんに出ました。 うん? 乗ってるし・・・。 しかも、でかそう。 なんでしょう、この状態は。 無事にとりこみ、計ってみるとナイスサイズな86cm。 クロさんから、トップでも乗るときゃ乗るとさんざん言われてましたが、いざこんなサイズを釣り上げてるのを見て、今までの筆者の20回はあろうかという、トップのあたりは・・・。
この魚が出たポイントは、倒木が斜めに倒れており、いかにも木の上から、生き物が川に落ちそうなポイントで、ルアーがその木の下を通り過ぎた瞬間、スドーンとね。
ここで、また大事件を起きてしまいました。 ふーと一息ついて、竿をおいてタバコを吸っていた筆者にあたりが来ました。 注意して読んでる方は、気づいてるでしょうが、手に竿の代わりに、タバコをもっていました。
実は、竿をカヌーに置いていましたが、ルアーは水面に浮かんでいたのです。 そいつに記録的な最小サイズのマーレイコッドがトップにかかんにも、アタックしてきたのです。 しかも、針かかってるし。(笑) 3秒のファイトで、ひょいと引き抜きました。 すごい、最小記録25CMといったとこでしょうか、子バスみたいです。
クロさんも、そのサイズはなかなか釣れないと賞賛していただき、珍し物ずきの筆者は、サイズといい、釣り方といい、手放しで喜んでしまいました。 でも、よく考えてみると、恐ろしいことですよね。 もし、でかいサイズだったら、竿もっていかれてたかもしれないし、同じく、筆者の反応が遅かったら、どんなサイズでも、竿は、マーレイコッド の新しいストラクチャーになっていたかもしれません。 それに、そのまま生きるはめになったマーレイコッドは死んでしまうかもしれません。 いい教訓になりました。 竿をおいても、ルアーを水面にはつけない。 そして、手など川に突っ込んだら食いつかれるかもしれません。 ピラニアみたいですね。 (注: 手をかまれた事は、聞いたことありませんが、可能性は大いにあると思います。)
しばらく、カヌーを流していると、先ほどテルさんが釣ったポイントに酷似した倒木が見えてまいりました。 倒木に向かって垂直に、ちょうど木の一番鼻先をルアーが、通り過ぎるようにキャスト。 ばっちし決まった。 ルアーが鼻先をとおりすぎるあたりで、「出る!!!」 と、でかい声で宣誓した。 テルさんもクロさんも、筆者のルアーに注目。 0.5秒後、バコーンと魚がトップにでました。 うん? 重いな・・・。 あ、乗ってると、気づくまでにさらに、0.5秒。 1秒後には、ファイトが始まっていました。 なかなかの引きです。 一昨日の、88CMほどではないにしろまぁまぁの型の、74CMが5分くらいのファイトであがってきました。 待望の、トップでちゃんととった一匹です。 いやぁ、あの手のストラクチャーは、超一級ポイントですな。 クロさんいわく、そういうポイントは真昼間でもトップで出てくるらしいです。

お昼の時間になり、昼食のためもどり、途中釣果報告をしながらおいしくランチをいただきました。 筆者は、トップで取る目的を達成したので、今度は、マーレイコッド以外の魚を釣るという新しい目的を立てました。 そのために、他にどんな魚が狙えるのかと、どんなルアーがいいのかといった情報を得て午後の釣りに望みます。 ルアーをサーフィス用から、底まで幅広く探れるスピナーベイトにチェンジして、釣り開始。 このスピナーベイトが、現地でイェローベリー(ゴールデンパーチ)と呼ばれてる魚や、レッドフィンという魚にいいらしいです。
ずっとトップばかりやっていたので、ルアーが泳いでいるのが見えないというのに、違和感を感じながら、丁寧に底近くを泳がせたりして新しい魚にチャレンジです。 このスピナーベイト、よくつれます。もちろん、マーレイコッドですが、1匹をキャスティングで、もう一匹を、たった20Mくらいのトローリングですんなりあげました。 エレキを使っての、ポイント移動のときに、ずるしてルアーをひきずってたらいきなりあたりです。 両方ともアベレージサイズの50cm前後。 いやー、絶滅危惧種の癖にいっぱいいますね。クロさんいわく、オーストラリア広しといってもこの魚影の濃さはこの地域だけだそうです。だから「マレーコッドの聖地」と呼ばれているのにも納得です。
しかし、マーレイコッド以外は釣れませんね。(贅沢な悩みですが。(笑)) そんなおり、トカゲが岩場にやってきて、獲物を物色しています。 後ろのクロさんから、あのトカゲも釣れるんだよね、声がかかり、奇特な筆者はルアーをトカゲの近くにピンポイントキャスト、トップでポコポコ引いてきます。 あろうことか、トカゲは海にダイブしてルアーをおっかけ始めます。 うわーと思ったときには、時既に遅し。 ガッチリフックアップ。 無事 カヌーまでよせ記念撮影をして、逃がしてあげました。 (動物愛護協会の方々、すいません、 動物虐待するつもりは毛頭ないので、許して)
その後も、何匹かマーレイコッドを追加して、4日間の釣行はフィナーレです。 いやぁ、しかしよく出る魚だこと。 ほんとに悪食で、捕食が下手なお茶目な魚ですね。 超大物は、今回でませんでしたが、タックルバランスからして、ちょうどいい楽しい釣りができましたね。 本当に1メートルオーバーをとるつもりなら、かなりごついタックルが必要になってきますね。 なんせ、体長とは比例しない体高と体重があるので、そのトルクは想像を絶するでしょう。
例えていうならば、海釣りですがクエなどハタ科の魚や、タラにちかいんでしょうか。 デブなお魚さんですね。
名残惜しかったですが、満足のいく釣果と思い出を胸に納竿です。
いや〜、釣れましたね。 本当クロさんには、感謝感激雨あられです。 こんな秘境の釣りポイントに行く機会なんてめったにないですからね。 秘境だからこそ、自然と自然に育まれた巨大魚たちが、すれずにルアーに猛然とアタックしてくるわけですよね。 この釣り、一度やったら病み付きになりますね。 筆者の知りうる限りでは、この手の釣りってほかにないんじゃないでしょうかね。巨大な魚は、世界中に数多く分布してますが、トップウォーターでバコーンって出る様は、釣り人に心臓を一瞬止めてしまいます。心臓の弱い方は、お避けください。 (笑) マーレイコッドの魅力は、このトップウォーターに出るときの爆発的な捕食音だと筆者は解釈しております。それでいて、派手にトップに出てくる割には捕食が下手くそで、それもこの魚の魅力の一つと言っても過言ではないと思います。
ストラクチャーをタイトに攻める、バス釣りのようなゲームフィッシング性。 朝、夕マズメだけでなく、昼間でも一定のポイントでは、いつでもトップに躍り出る獰猛さ。 活性が高ければどんなルアーにでも食いつく悪食ぶり。 今回は、巨大魚を釣り上げるには至りませんでしたが、百キロ以上にもなるという、大物釣り。 何十年も生き続け、何千年も前から生存するという、古代魚。 この魚の魅力を表現する言葉はいっぱいありますが、釣行に出れば、十二分にご理解いただけると思います。
この魚に挑戦するには、現地在住のガイドを頼むことをお勧めします。 個人的に挑戦しようと思っても、釣り場にたどりつくことさえできないでしょう。 旅行ガイド、釣りガイドして現地に住むクロさんといけば、楽しい釣行は約束されたも同然です。
最後まで、雑文につきあってくれた皆々様に感謝の気持ちをこめて、釣行記を締めくくりたいとおもいます。
それでは、またどこかの釣り場所で。
~keep it wet!~

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