マーレイコッド釣行記(2004年5月9〜12日)   ユタカさん

5月は秋、オフシーズンギリギリの釣行を決行!


今回のマーレイコッド釣行は、所用でオーストラリア西海岸のゴールドコーストを訪れる機会があり、そこで数日間の余暇が確保出来た事より実現した。折角の余暇なので好きな釣りでもしようと思い色々とネットで情報収集をしたこところ、今回のツアーを組み立てて頂いたクロさんのHPに辿り付いたのである。当初は有名なバラマンディでもと考えていたが、バラマンディはケアンズ以北が中心であり、ぼくが滞在するゴールドコーストよりはかなり遠い事が判明。一方のマーレイコッドはクロさんのHPから判断する限りゴールドコースとからも陸路でアクセスが可能な事より有力候補として浮上、早速クロさんにコンタクトを取るとゴールドコースト発のツアーを二つ返事で了承頂いた次第である。しかし問題は釣行する5月は現地の気温が低くなり既にシーズンオフギリギリの時期であるとの事。そこでクロさんに現地情報を色々と収集して貰い、出発1ヶ月前の時点で“今年は暖かい日が続いているので何とか型は見られるであろう”との判断により最終的に釣行を決定。
また、マーレイコッドと言う魚は以前に雑誌などで見てその存在は知ってはいたが、特に天然魚は“簡単には釣れない魚”と印象が強く、時期的な不安とまだ見ぬ未知の魚への期待とが入り混じった出発となった。


実釣日数:2日半の戦い!

<初日>
早朝5時にクロさんに宿泊先まで迎えに来て貰いゴールドコーストを出発。目的地のインバレル周辺まで約500Kmのロングドライブである。途中の景色は一部山道があるものの後は殆どが広大な農場地帯、さすがオーストラリアといった景観である。簡単な食事休憩などを挟み現地には11時過ぎくらいに到着。今回お世話になる牧場主のピーターさん及びその家族と挨拶を済ませ、早速釣りに行く事に。当日は日曜日だった事もあり、ピーターさんが特別な釣り場を案内してくれるとの事。その特別な釣り場とはピンダリーダム上流部。ここは陸路でのアクセスは不可能で、ピーターさん所有のボートで湖を縦断、インレット付近にボートを止め、徒歩で川を釣り上って行くスタイルである。さすがに秘密のポイントだけあって途中1人の人間とも行き交う事なく完全に貸切り状態。この川はぼくらがイメージする大陸の大河とはちょっと趣は異なり川幅は広くても20m程度であろうか(狭い所は徒歩で渡れるくらい)、日本の渓流をちょっとだけ大きくした様な感じである。一見こんなところにそんな大型の魚が生息しているのだろうか、と言う印象である。しかし乾期であるにも関わらず3m潜るディープダイバーでも底を取れなかった事から判断すると水深は深いところでは4〜5m程度はあるのではないかと思われる。また川の両岸はかなり切り立った岩盤となっており、この辺は日本では見られない風景である。
まず、最初に入ったプールの数投目、手元まで引いてきたスピナーベイトの後をかなりのサイズの魚が追ってきたのが見えた。これが狙っているマーレイコッドであろうか?弥が上にも期待は高まる。しかしその後、トップ、クランクベイト、スピナ-ベイトと色々とローテーションを行なうも当たりはない。浅瀬に定位する(マーレイコッドと思われる)魚を見つけ鼻先にルアーを投げても反応はない。やはりこの時期の低水温によりかなり活性が低いのだろうか?ぼく以外の3人(クロさん、ピーターさん、ピーターさんの息子)も同じ状況の様でかなりシビアである。ここぞと思われるポイントを次々に責めるが一向にバイトの気配も感じられないまま刻々と夕暮れが迫って来た。


ファーストキャッチで85センチだ!

もうかなり上流まで釣り上がり足もガクガクである。引き返す時間を考えるとそろそろ最後のポイントと思われるかなり大きめのプールへ出た。このプールはかなり水深もありそうで期待出来そうな雰囲気が感じられた。ルアーは活性の低い魚に合わせ底を取る為に重めのBカスタム3/4ozをチョイス、対岸まで投げ底を取ってからゆっくりとリフト&フォールを繰り返す。方向を変え何投かし、丁度川の中心辺りをルアーが差し掛かった時、急に“ゴン”と言う強烈な手応え、魚である事を確信し合わせをくれた瞬間かなりの大きさであることが直感的に感じられた。ラインは30lbsのPE、リーダーに50lbsのフロロを使用していると言え、岩に擦られれば一発で切れる可能性もある。何回がドラグを滑らせた慎重なファイトの後、浮かんで来た魚はやはりかなりのサイズである。クロさんにランディング・グローブを借り何とかハンドランディングに成功。生涯初のマーレイコッドは85cm、推定25lbs(=約11kgs)の大物であった。幻の魚、しかも天然魚を釣った感激はやはりひとしおである。結果的にはこの魚が今回の釣行の最大魚、且つクライマックスであった。手早く写真撮影を終えリリースすると、マーレイコッドはゆっくりと深みへ消えていった。
この後もうちょっと粘るもタイムアップ、薄暗くなる中、ボートを止めてある場所まで帰路を急いだ。ボートで湖を縦断する帰路、真っ暗になった湖上のボートの上で見た満天の星空(南十字星やミルキーウェイ)の美しさも付け加えて置きたい。


低水温の中、トップウオーターにグッドサイズが炸裂!

<2日目、3日目>

翌日以降の2日間は泊まらせて貰ったピーターさんの牧場を流れる川でカヌー釣りを行なった。このカヌーにはハンドエレキがセットされており、後部座席のクロさんが操船。お陰様で昨日の源流釣行と比べかなりノンビリとした牧歌的な釣りが楽しめた。
ここは初日の川と違い平坦部を流れている為、流れは非常に緩やか一見止まっている様にも見える程である。川幅は広いところで70〜80m程度か。川のいたる所に倒木や岩などのストラクチャーが存在し、ちょっと規模の大きい野池と言った様相である。マーレイコッドはこれらストラクチャーに身を寄せているとの事で、カヌーで岸際を流しながらストラクチャーを打って行く釣りとなる。クロさんはこの釣りの楽しさをぼくに伝える為に終日トップを中心投げていたが、やはり時期的な関係か魚の活性が低い様で反応は良くなかった。ぼくは早々とトップを見切り取上げず型を見る為に色々なルアーを取り替え引き換えローテンションしてみたが、結局この2日間ではポツポツと飽きない程度にバイトがあり全部で11匹のマーレイコッドを手にする事が出来た。その中でのハイライトは2日目の朝一にようやくトップ(地元製のデプスチャージ)に出た68cmで後は40〜50cmのアベレージサイズであった。ただ初日の一匹の出会いが強烈であった為、それ以上の大型を期待していたぼくにとっては(贅沢ではあるが)やや心残りとはなった。
またクロさんが“ポパイ”と呼ばれる地元ルアービルダーが作成した巨大クランクベイトを投げ倒し最終的に1本釣り上げたのには頭が下がった(本当に釣れるのですね、そのルアー)。何でも前回の釣行ではツアー最大魚をそのルアーで釣り上げたとの事。
11本のヒットの内訳はトップで3本、スピナ-ベイトが1本、残りがクランクベイト系であったが、その中でも郷に入れば郷に従えと言う事か地元のハンドメイドルアーである“マッドアイ”や“スコット”が良く効いた事を付け加えておく。これらのルアーは木材や発砲樹脂から作られており、日本の精巧なルアーと比較するとかなりチャチには見えるが、低速でもゴンゴンと首を振り非常に巻き抵抗の大きいルアーである。どうやらこの動きが地元で“Lazy (怠け者の意)Fish”と呼ばれるマーレイコッドの習性/食性にマッチしているのだと推測される。


二日半の釣果は12本!

また3日目の夕まずめには川の上流部まで車で移動し陸っぱりを試みた。ビッグバドに何度かアタックがあったものの、結局乗らずじまい。盛期にはこの様な夕まずめ〜ナイターの釣りで大型が楽しめるとの事ゆえ、またの機会に期待したい。 結局、2日半の釣行で初日の大物を入れて全部で12本の釣果を得たが、この時期の釣行にしては上出来の結果であったと思う。これも今回事前の情報収集を含め全てをアレンジしてくれたガイドのクロさんのお陰である。この場を借りて感謝したい。また、自宅に宿泊させてくれ、心のこもったオージー田舎料理(本当に美味しかった)で持て成してくれたピーター夫妻にも改めて感謝したい。
天然のマーレイコッド釣行では源流部や個人所有地での釣りが不可欠となる為、これら協力者の存在なしには成し得なかったと断言出来る。
またゴールドコーストなどの海辺の町だけにいてはお目にかかれない野性のカンガルーやワラビーなどにも頻繁にお目にかかれた非常に楽しい釣行であった。


<今後釣行される方へのアドバイス>

1) タックル
基本的にはバスタックルで応用可能。40〜50cmクラスのアベレージサイズは引きも最初のひとのし以外は割とすんなりと寄って来る(これはぼくの釣行が低活性時だった事も影響しているかも)。またこれらのアベレージサイズにはナイロンやフロロの12lbs程度のラインでも充分であろう。ただしこの釣り場には確実にメータークラスも潜んでおり、柔なタックルで折角の大物を逃したり、また無闇に魚を傷つけたりしない為にも、アベレージサイズの引き味は無視してもそれなりのタックルを準備する事をお勧めする。詳細はクロさんのHPを参照にすれば良いと思うが、ちなみにぼくはMH〜Hクラスのベイトロッド、30〜50lbsのPEラインに50lbsのフロロリーダーと言うタックルで挑んだ。
2) ルアー
釣行記の中でも一部触れたが2日半の釣行より判断出来るのは、兎に角ゆっくり巻けて且つ派手に動くルアーが良いだろう、と言う事である。今回は残念ながら持ち合わせていなかったがバルサ材のウォブルの大きいクランクベイトなどが効くのではないかと思えた。またルアーのサイズもしかり、ちょっと大き過ぎるのではないか?と思えるルアーにもアベレージサイズが果敢にアタックして来るので、魚へのアピール度を考えると大き目のものを中心にセレクトすべきであろう。トップは1ozクラスをお勧め(実績ではノイジー系が強い様である)。またストラクチャー回りや深場の攻略にはスピナーベイトも重宝するので1/2〜1oz程度のものを幾つか準備すべきであろう。ただし日本製のバス用フック、スプリットリングでは大型サイズが掛かった場合や、PEラインを用いた釣りの場合、簡単に伸びてしまう事が多いので共にソルトウォーター用の太軸のものに交換しておく事をお勧めする。
3) 服装、その他
準備する服装は釣行する時期によってかなり異なると思われるが、ちなみにぼくが釣行した5月初旬(現地の秋)でも朝夕は氷点下に下がる事もあるとの事。ぼくは持ち合わせがなかった為、ガイドのクロさんにフリースのジャケット、オーバーコートを借り、これらを着込んで対応させて貰った。ちなみに釣り場である内陸部は昼と夜との気温差が大きい地域でもある。詳しくは釣行前に確認すべきであろう。
重要な点として、もし源流部への釣行を予定しているのであれば、トレッキングシューズなどのグリップのしっかりとした靴を準備すべきである。ぼくは通常のスニーカーだったが、岩場を歩いたり浅瀬を横切ったりするにかなり苦労した(地元のピーターさんなどはスタスタを身軽に歩いていたが、やはり慣れないぼくらはそれなりの準備が必要であると感じた)。
ボートでの釣りの場合は通常のバスフィッシングを想定しておけば問題ないと思う。
また、マーレイコッドは(細かいものの)かなり強力な歯を持っているので、素手でのハンドランディングは危険である。今回はランディング・グローブを主に使用したが、専用のランディング・グリップなどがあれば重宝するであろう。 尚、天然のマーレイコッドは残念なことに年々その数が減少しているとの事。今回の釣り場も規模的には小場であり、今後も楽しい釣りを長く続けていく為には各アングラーの“資源を守る”と言う意識が非常に重要であると感じた。マーレイコッドは味が非常に美味であるが故、過去漁師により乱獲された事がその減少の最大の原因である様だが、オーストラリアの規則では50cm以下のものはリリースする規則となっており、更に地元では自然の川においては全てリリースするように奨励しているとの事。ついては、今後同釣り場を訪れるアングラーにも釣上げたマーレイコッドの取扱いには充分に注意し、魚が弱る前に丁寧にリリースする事をお願いしたい。

では、鱗のある淡水魚ではアマゾンのピラルクやアフリカのナイルパーチに続き1mを越す超大型サイズに成長するマーレイコッドの釣りを是非楽しんでください。きっと良い思い出になる筈です。